2017.9.11
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第17回日本再生医療学会総会
第17回日本再生医療学会総会の会長を務めます、東京大学の鄭 雄一です。本総会は2018年3月21日(水・祝)~23日(金)の3日間、パシフィコ横浜にて開催します。
総会ウェブサイト:http://www2.convention.co.jp/17jsrm/
今回の学会テーマは「産官学民の知の結集」としました。
新たな科学技術を医療として応用・展開しようとするときには、様々な障壁が立ちはだかります。その技術が、革新的であればあるほど、その壁は高くなります。新たな治療法を待ち望む難病患者は、「重要なニーズなので何とかしてほしい」と考え、開発した研究者は、「こんなに素晴らしいシーズなのだから、すぐに産業化できるはず」と思い、しかし、産業化を託された企業は「こんなにリスクが高くては、なかなか踏み込めない」としり込みします。さらにその審査をする規制当局に至っては、「いきなりこのような新しい技術をもってこられても、評価基準もまだできていないし」と困惑します。
このような従来型の研究開発においては、患者・医師、研究者、企業家、規制当局といった様々なステークホルダーの連携が不足していて、次のステークホルダーにバトンを渡したら、あなたまかせになってしまい、市場創成や展開の歩留まりがなかなか上がりません。ときにバトンは、手をすりぬけて落ちてしまいます。いわば、リレー方式の産学連携といえます。
この状態を打破するためには、研究開発の初期から全てのステークホルダーを巻き込んで進めることのできるプラットフォームが有効です。いわば併走方式の産学連携です。このようなプラットフォームができれば、ニーズとシーズのミスマッチが消え、強力なシナジーが生まれ、あるステークホルダーの悩みは逆に他のステークホルダーのチャンスに変わり、産業化までのコスト・期間が大きく短縮することが期待されます。
再生医療という最もチャレンジングな医療技術の産業化を実現するためには、このようなオープンイノベーションプラットフォームが絶対に必要です。日本再生医療学会が、そのプラットフォームの旗振り役となって、様々な利害をもつ産官学民の全てのステークホルダーを、透明性を保った形でつなぎ、そして巻き込み、手を携えて進んでいくことが、これまで以上に期待されていると思います。
この期待に応えるべく、本学会総会を産官学民の意見交換ができる場にしたいと考えています。多くの皆様のご参加をお待ちしております。
第17回日本再生医療学会総会会長 鄭 雄一
東京大学大学院
工学系研究科バイオエンジニアリング専攻
医学系研究科疾患生命工学センター