日本再生医療学会

ニュース

2015.3.19

  • 声明・ガイドライン等

YOKOHAMA宣言2015

  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn

体性幹細胞、ES細胞、そして昨年に初めて臨床研究が開始されたiPS細胞などの臨床応用は、これまで治療法の無いとされてきた難病に苦しむ多くの患者に明るい希望をもたらしています。日本再生医療学会は、関係省庁、産業界に働きかけ、再生医療が正しく理解され、評価されるための法制化を求めてきました。2013年に「再生医療推進法」が成立し、2014年には「医薬品、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が施行されたことはその成果であり、再生医療の迅速で安全な発展を支える基盤整備として大きな一歩を踏み出したものと確信しています。

 

この間、2013年、2014年の次の宣言を通して、本会は再生医療の創出と普及に向けた総合的な取組を強力に進めてきました。

  1. 再生医療に携わる者の教育訓練を徹底させ、再生医療が、2013年に新たに成立した再生医療関連法の下に安全で適正に行われることに貢献する。
  2. 国内外における再生医療の安全性、有効性に関する科学的・医学的情報を集積し、再生医療のたゆまぬ進歩に貢献する。
  3. 再生医療の倫理性、安全性、有効性、現状について広く情報を発信し、国民の正しい理解を得るための努力を進める。
  4. より多くの患者が再生医療の恩恵に浴するため、「研究」から「産業」への途切れなき移行を推進し、細胞培養加工施設の安全性基準策定や加工受託制度の構築において情報提供など積極的支援を行う。
  5. 再生医療を受ける者の権利と利益を守り、それらの者が再生医療により最大の恩恵を受けることができるよう体制を強化する。
  6. わが国の再生医療の質を向上させ、さらに世界に貢献するよう他の学会や施設、行政、産業界に働きかけ、協力連携体制を強化する。
  7. 再生医療推進法の精神に賛同し、わが国の再生医療研究に貢献し得る新たな医師・産学研究者の育成との相互結集を図り、世界に先駆けた革新的な再生医療研究の活性化と、より効果的な治療創出に、学会が努力する。
    本会では、以上の宣言をMissionとして具体的な治療実施体制を築くために、保険制度の整備や教育システムの構築などの活動を積極的に行い、既に成果を挙げつつあります。引き続き適切な運営がなされるために、産学官での活発な意見交換により再生医療社会の実現に向けて貢献していきます。

また、本会は、国民の理解を得てこれらの法体制がその効力を最大限に発揮し、正しく遵守されることによって日本の再生医療に大きく貢献するよう、2014年9月28日に再生医療公開フォーラムを開催し、再生医療の新たな研究開発に加え、学会、産業、行政に関わる人々と国民の対話をとおした議論を進めて来ました。こうした再生医療推進の総合的な活動とその取組は、海外からも大きな注目を集めて高く評価され、World Stem Cell Summit 2014において、Stem Cell Action Award(International Leadership)を受賞しました。

 

我々の活動が真にその目的を達するためには、理念に沿って継続的な活動をすること、また謙虚に活動成果を見直しつつより優れた学会活動のあり方を模索する真摯な姿勢が重要であると認識しています。再生医療に関わる科学的真理の探究を強く推進すると共に、その真理を医療に届けるために、産学官のみならず医患の信頼関係を構築しつつ、たゆみない努力を継続することをここに宣言します。

再生医療実現に向けた日本再生医療学会の取組

日本再生医療学会では、再生医療新法の成立と共に、その速やかな運用に向けて以下の取組を行ってきました。

(1)人材育成事業

  1. 再生医療認定医制度設立
  2. 臨床培養士制度設立
  3. セミナー開催とe-ラーニング教材作成(Web公開)

(2)ガイドライン策定(「細胞調製に関する施設及び運用に対する考え方」の策定(Web公開))

(3)再生医療等臨床研究補償保険制度の設置

(4)再生医療人の行動基準の策定

 

さらに、以下の制度樹立を進めているところです。

(1)再生医療疾患レジストリー制度

(2)中・上級培養技術者の育成、セミナー開催および認定制度の設立

 

 

以上

 

2015年3月19日
日本再生医療学会
理事長 岡野光夫
副理事長 澤 芳樹
および理事一同