日本再生医療学会

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2013.9.3

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細胞調製に関する施設および運用に対する考え方

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本考え方は、ヒト由来の細胞を調製することで得られる細胞単体や組織化された細胞調製品の品質及び安全性を確保するため、基本的な調製についての考え方を示したものである。また、細胞調製品の品質の担保に当たっては、ヒトから直接細胞・組織を採取し培養を行うため、必要最低限の検体でその品質管理を行う必要があるとともに、調製品の特性や処理工程の特殊性等を踏まえた工程管理及び品質管理を行うことが必要である。細胞調製品の種類や特性は多種多様であり、また、本分野における科学的進歩や経験の蓄積は日進月歩である。本考え方は、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」(平成22年厚生労働省告示第380号)、「医療機関における自家細胞・組織を用いた再生・細胞医療の実施について」(医政発0330第2号)、「ヒト(自己)由来細胞・組織加工医薬品等の製造管理・品質管理の考え方について」(薬食監麻発第0327025号)、及び「ヒト(自己)体性幹細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保について」(薬食発0907第2号)で提示された内容を踏まえて、特に重要な事柄を示したものである。本考え方を一律に適用したり、本考え方が必要事項すべてを包含しているとみなしたりすることは必ずしも適切でなく、細胞調製品を治療に用いる医師ならびに細胞調製を行う細胞調製従事者の教育が十分なされたうえでの活用を望む。さらに、今後も、原料入荷から細胞調製品出荷までの一連の工程や施設間搬送を含めた種々の考え方について、適時更新を行うものである。

細胞調製施設は、無菌環境維持による雑菌汚染の防止、封じ込めによる汚染拡大の防止、チェンジオーバーにおける適切な運用による交叉汚染の防止を考慮する必要があり、構造(ハード)と管理(ソフト)の両者の対応により、安全な運用が成り立つ。つまり、本考え方に記述された調製に関する事項、試験方法、基準、その他の技術・構造要件は、それぞれの目的に適う内容と程度をもとに考慮、選択、適用、及び評価されるべきことを意図しており、必ずしも常に同一水準での解釈、運用を求めている訳ではない。したがって、個々の細胞調製に際しては、上述の考え方及び目的を踏まえ、その時点の学問の進歩を反映した合理的根拠に基づき、ケース・バイ・ケースで柔軟に対応することが必要である。このような観点から、本考え方では、細胞調製施設における細胞の調製等に当たって踏まえるべき、工程管理・施設要件の考え方を以下に示し、実施者の細胞調製施設運営の一助となることを期待する。

20130903.pdf

以上

 

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