2011.3.2
- 声明・ガイドライン等
日本再生医療学会声明(2011-2)
これまでに要望してきた再生医療臨床研究の規制緩和の成果
- 自家細胞を用いた細胞治療に関して、医療機関同士のやり取りが一定要件下で可能となった
- 臨床研究において、企業による未承認医療機器の提供が可能になったことから、企業が製造した未承認の再生医療製品を臨床研究で用いることが可能となった
- 「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の改正がなされ、ヒトES細胞(※)、ヒトiPS細胞の臨床試験の解禁、細胞の取り扱いに関するミニマムコンセンサスが提示された
- 確認申請が廃止され薬事戦略相談が開始されることとなった
- 本年1月7日に内閣府に発足した医療イノベーション推進室の重要課題に再生医療が取り上げられ、省庁縦割りを排し再生医療における規制改革等の課題解決や研究開発の重点化による再生医療推進が図られることとなった
これらの規制緩和は再生医療の推進に効果を示すことが期待でき評価できる
(※)ヒトES細胞については現在、文部科学省と厚生労働省で臨床試験に向けて協議中
今後の要望
【1】 合理的で円滑な臨床研究・治験の実施のために下記のような再生医療製品の承認審査のあり方の検討を要望する。
- 審査のあらゆるステージで、疾患や研究に関する専門家の関与
- 疾患希少性(※)に基づく審査の弾力性
(※)疾患希少性とは:欧州米国では 1)患者数が希少 2)投資回収の可能性が低いものの代替治療法 の無い優れた製品であり、双方の観点からオーファン制度の対象を検討すべき - FDAのような審査期間の限定
- 常に最新知識・時代水準と照らして、科学的に検証できる範囲で審査内容がオーバースペックにならないように
- より厳密かつ詳細な情報のもとに審査を行うための申請者が直接申請内容説明および質疑を行える体制
- 審査官の責任体制の緩和
- 薬事戦略相談の迅速化につながる体制整備
【2】 同種細胞の臨床研究利用事業化についての議論の場を設けていくべきである
学会としての取組
- 出発細胞や製品の特性・種類ごと、疾患ごと、製品の分類やライフサイクルごとの品質・安全性・有効性評価基準(ミニマムコンセンサスパッケージ+ケースバイケース別上乗せ方策)
- 審査側(PMDA)への最新知識の提供
- 審査に協力できる専門家のプール人材確保
- 培養技術者/施設のガイドライン/認定制度の設置運用および教育体制強化
以上
2011年3月2日
日本再生医療学会
理事長 岡野光夫