日本再生医療学会

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2026.3.18

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KOBE宣言2026

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 日本再生医療学会は、再生医療を標榜する学術団体として設立以来、基礎研究から臨床応用、社会実装に至るまで、再生医療の発展を一貫して牽引してきた。多様な分野の知見を結集し、高い倫理性と科学的妥当性を基盤として、研究成果を再生医療等製品として社会に定着させることは、本会に課せられた重要な使命である。
 本会はこれまで、iPS細胞関連技術をはじめとする再生医療研究を推進し、心臓、神経、眼、運動器など、多様な臓器・疾患領域において、治癒や機能回復を目指す治療法の創出に取り組んできた。これらの技術の中には、承認取得を目指して開発が進められ、臨床の現場において、現実の治療として確立されつつある段階に至っているものも少なくない。現在では、多くの再生医療等製品が研究段階を超え、臨床の現場で患者に提供され、再生医療は医療の選択肢として確かな位置を占めるに至っている。
 こうした取り組みは国内にとどまらず、国際社会においても高い評価を受けてきた。本会は、国際学術団体や関係機関との連携を通じ、再生医療に関する知見や経験を世界と共有し、国際的な議論や基準形成にも積極的に関与してきた。日本における再生医療の歩みは、世界の再生医療の発展と軌を一にしながら、その一翼を担ってきたものである。
 近年、再生医療の領域はさらに裾野を広げている。CAR-T治療等に代表される遺伝子修飾細胞治療は、新しい再生医療等製品として臨床応用が進み、治療の可能性を大きく拡張している。また、遺伝子改変ブタを用いた異種臓器移植は、臓器不足という世界共通の課題に対する新たな解決策として国際的な注目を集めている。加えて、IoTやAIを活用したバイオデジタルツイン、オルガノイド技術、細胞外小胞(エクソソーム)関連技術など、再生医療は生命科学とデジタル技術の融合により、新たな学問領域を形成するとともに、医療の可能性を切り拓きつつある。
 これらの革新的な研究成果を持続的に患者へ届けるためには、再生医療等製品の産業化を支える仕組みの整備が不可欠である。本会は、これまで活用されてきた早期承認制度について、その成果と課題を検証するとともに、基礎研究から臨床、社会実装へと円滑につながる新たな産業化促進の仕組みづくりを進めていく。これは、国内のみならず国際社会においても信頼される再生医療の発展に資する重要な取り組みである。
 一方で、再生医療への期待の高まりとともに、十分な科学的根拠が示されないまま自由診療として提供される医療が拡大している現状は、深刻な課題である。患者の切実な思いに応えるべき医療であるからこそ、エビデンスに基づかない医療が蔓延する状況は、再生医療全体への信頼を損なうおそれがある。
 再生医療の発展の根底には、高い倫理性がなければならない。本会はこれまで一貫して患者の視点を重視し、患者を単なる医療の受け手にとどめず、医療をともに創り上げるパートナーとして位置づけてきた。再生医療は、患者が必要としているからこそ進められるものであり、患者との対話と共創を通じてこそ、その価値は真に社会に受け入れられる。本会は、科学性と倫理性を両立させた再生医療を推進し、その姿勢を国際社会に対しても明確に示していく。
 こうした取り組みを支えるために、本会は、認定制度と教育コンテンツを両輪として活用し、再生医療の安全性と質を支えるとともに、社会から確かな信頼を担う専門人材の育成を推進する。
 こうした取り組みを具体的な医療の仕組みとして実装するための一つの方策として、本会は、検証型診療を行政および関係機関と連携しながら推進する。臨床現場で得られるデータを体系的に収集・解析し、安全性と有効性を科学的に検証する仕組みを整えることで、再生医療等安全性確保法および医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく評価を補完し、将来の医療の確立につなげていく。
 日本再生医療学会は、これまで積み重ねてきた実績を礎として、広がり続ける再生医療の可能性を未来へとつなげる。国際社会との協調のもと、新しい研究、新しい制度、新しい産業化の在り方を探求し、再生医療が信頼される医療として世界に貢献する未来を切り拓く。その決意をここにKOBE宣言として表明する。

                                                  以上

                                            2026年3月18日

                                            日本再生医療学会
                                            理事長 西田幸二
                                      副理事長 寺井崇二、宮川 繁
                                        第25回総会会長 高橋政代
                                             および理事一同