2025.9.9
- 学会からのお知らせ
- 声明・ガイドライン等
再生医療等安全性確保法に基づいた緊急命令に対する本会の考え方について
厚生労働省の発表(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_62642.html) によりますと、本会会員ではない医師から再生医療等(再生医療等提供計画:慢性疼痛に対する自己脂肪由来間葉系幹細胞による治療)を受けた患者(1名)が死亡されたということで、まずは患者様およびその関係者各位に謹んで哀悼の意を表します。本事案発生をうけ、2025年8月29日、厚生労働省は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」第22条および第47条に基づき、当該再生医療を提供した医療機関と特定細胞加工物を製造した企業に対し 、再生医療等の提供および特定細胞加工物等の製造に関して、一時停止等の緊急命令を発出いたしました。
この決定は、社会全体に再生医療の安全性確保の重要性を改めて問いかけるものであり、本会もこれを重く 受け止めております。
本会では、間葉系幹細胞/間葉系間質細胞 (Mesenchymal Stromal/Stem Cell, MSC) を中心とする治療の国際的な標準化と安全な臨床応用に寄与することを目指し、2025年3月に論文「Recommendations for the safe implementation of intravenous administration of mesenchymal stromal cells」(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352320425000240)をRegenerative Therapy誌に発表しております。本論文では、静注に伴う塞栓症リスクや投与プロトコル、厳格なモニタリング体制などを含め、安全性の確保に必要な包括的推奨事項を指針として示しています。
本会は、今後も再生医療の推進と安全性確保に資することを目指して、以下の取り組みを一層強化してまいります。
• 本指針をはじめとする安全に関する知識の普及・教育活動の強化
• 研究者・医療従事者・行政・産業界との緊密な連携
• 適正な実施体制の確立に向けた情報発信と啓発
日本再生医療学会は、再生医療が科学的根拠に基づき、安全性と倫理性を確保した形で社会に実装されることに貢献できるよう、今後も活動を継続していきたいと考えております。
一般社団法人日本再生医療学会
理事長 西田幸二