2024.11.5
- 声明・ガイドライン等
再生医療等安全性確保法に基づいた緊急命令に対する日本再生医療学会の考え方
2024年10月25日、厚生労働省が再生医療等の安全性の確保等に関する法律第 22 条及び法第 47 条に基づき、再生医療等の提供及び当該特定細胞加工物の製造の一時停止の緊急命令を発出しました。対象となった医療機関には日本再生医療学会会員が在籍することを確認しており、「再生医療の進歩、発展及び育成を図ると共に人類の健康増進と福祉の向上に寄与すること」を目的とする本会としては大変遺憾であり、健康被害を受けた方々に心よりお見舞い申し上げます。
本会では、2014年から施行された再生医療等安全性確保法の健全な普及を支援するため、再生医療認定医ならびに臨床培養士などの認定制度や科学的根拠に基づく教材を提供し、安心・安全な再生医療の実現に向け、認定制度への参画を広く呼び掛けてまいりました。しかし今回の当該医療機関の会員はこうした資格を取得していませんでした。
現在、再生医療を提供するための再生医療認定医が578名、幹細胞等を製造する臨床培養士が407名、上級臨床培養士が71名と、多くの人材を輩出しています。今回の緊急命令を受け、会員に対して注意喚起を行うとともに、今後も日々進歩する再生医療等に携わる医師/歯科医師や培養士に対して本制度へ参画を強く推奨し、提供する再生医療の水準向上を求めました。
再生医療は、化合物を基礎とする従来の治療とは異なり、生きた細胞や遺伝子を材料とするため、特に高い安全性と信頼性が求められるとともに、日進月歩で登場する知見への対応が求められます。本会としては、引き続き医療現場への最新の知見提供による安全・安心な再生医療の確保と、倫理的・法的・社会的な妥当性と科学的根拠に基づく政策提言により、学術の発展と、その社会実装に貢献していきたいと考えております。
日本再生医療学会
理事長 岡野栄之