日本再生医療学会

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2017.4.12

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第5回国際組織工学・再生医療学会世界会議2018

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第5回国際組織工学・再生医療学会世界会議2018-京都

開催にあたって
再生医療への産官学インテグレーション
2018 TERMIS World Congress – Kyoto, Japan
Intergation of Industry, Academia, and Government for Regeneration Medicine

http://www2.convention.co.jp/termis-wc2018/index.html

 

TERMIS(Tissue Engineering and Regenerative Medicine International Society)とは、組織工学・再生医療に関する国際学会です(https://www.termis.org/)。TERMISは、2005年にTESI(Tissue Engineering Society International)、ETES(European Tissue Engineering Society)、および日本、中国、韓国を中心としたアジア諸国のTissue Engineering研究者が集まり、「to find cures and new technologies that will ultimately affect our patients」を共通ゴールとして発足した国際学術組織です。発足初期には、Tissue Engineering(組織工学)研究者と少数の関連企業からなる学会でした。しかしながら、現在は、組織工学研究者だけでなく、幹細胞生物学、臨床家、再生医療関連企業の参加も増えてきています。TERMISのテーマは、組織工学、幹細胞生物学、細胞移植治療、再生医療、再生医療産業化などであり、現在では、組織工学・再生医療を広く扱う学会に成長しています。上記の全ての分野を網羅している日本再生医療学会の国際版のような位置づけを目指しています。幹細胞に関する国際学術組織として幹細胞研究国際学会(International Society for Stem Cell Research;ISSCR)がありますが、TERMISは、ISSCRと対をなす組織工学、治療応用、あるいは事業化に重点を置いた再生医療分野の国際学術組織であります。TERMISには、TERMIS-Global の下にAsia-Pacific (TERMIS-AP)、Europe (TERMIS-EU)、America (TERMIS-AM)の3つの下部学会があります。第2代TERMIS-AP理事長は、TERMISの発足当初から多大な尽力された東京女子医科大学 岡野光夫先生が務めらました。これらの下部学会は、毎年、それぞれの地区で学術集会が開催され、再生医療分野に興味をもつ研究者、臨床家、企業家が集まっています。TERMIS-Globalは、3年に一度、全世界会議TERMIS-World Congress (TERIMS-WC)を行っています。過去4回の全世界大会は、米国・ピッツバーグ(2006)、韓国・ソウル(2009)、オーストリア・ウィーン(2012)、米国・ボストン(2015)で開催されています。

 

その第5回世界会議2018 TERMIS World Congress – Kyoto, Japanを、2018年の9月4日-7日、京都国際会議場で開催することになりました。本世界会議は、日本再生医療学会(JSRM, The Japanese Society for Regenerative Medicine)との共同開催であります。再生医療に興味をもち、この分野の発展と推進を志す方々にも多数ご参加いただけますよう、お願いいたします。
再生医療とは、体本来のもつ自然治癒力を高めて病気を治す試みであり、これが可能となれば、体にやさしい理想的な治療法となります。また、新しい治療も可能となるため患者の期待感もますます大きくなっています。この自然治癒力の基となるのが細胞の増殖と分化能力です。この細胞能力のコントロールこそが再生医療の実用化へのkeyであると考えます。

 

再生医療には、患者を治す「再生治療」と将来の治療を科学的に支える「再生研究」があります。「再生研究」には、細胞の増殖分化を調べる「細胞研究」と細胞を用いて薬の毒性や代謝を評価する「創薬研究」があります。再生治療と再生研究が現実的になってきた背景には、幹細胞学と組織工学の両方の発展があることを忘れてはいけません。細胞能力を高めるためには、細胞自身に加えて、細胞の周辺環境が大切であることはいうまでもありません。この細胞環境を創製する医工学技術が組織工学です。

 

再生治療には、大きく分けて細胞移植と組織工学の2つの方法論があります。前者では、細胞能力の高い細胞を移植し、病気の再生修復を行います。後者では、バイオマテリアル技術を活用して細胞周辺環境を整えることで、体内に存在する細胞の増殖分化能力を高め、再生修復を実現します。一方、細胞能力をコントロールできるバイオマテリアル技術があれば、再生研究はさらに発展するでしょう。科学技術に加えて、細胞の品質管理、生命倫理、規制などに関する議論も、再生医療の実現には必要であります。このように、再生医療は様々な学術分野の寄与に加えて、大学、企業、官の有機的な協力が不可欠な学際融合境界領域であります。すなわち、種々の専門領域のインテグレーションが重要です。

 

本世界会議では、再生治療と再生研究とからなる再生医療領域を工学、医歯学、薬学、理学などの立場から全体的に鳥瞰できるようにプログラムを編成いたします。再生医療の基本概念である細胞能力のコントロールを目指して、異なる専門分野と領域の人々に集まっていただき「細胞研究」「創薬研究」「再生治療」などの具体的な出口をしっかりと見すえて、「再生医療への産官学インテグレーション」の促進を議論できる場を提供したいと考えています。世界各国から組織工学・再生医療の研究者、臨床家、関連企業が集まり、人的交流を深めるとともに議論できるよい機会です。

 

会員の皆様はもちろん、再生医療に興味をもち、この分野の発展と推進を志す方々にも多数ご参加いただけますように、鋭意準備を進めてまいります。ご支援、ご指導の程、よろしくお願い申し上げます。皆様方の世界会議への参加を事務局一同、心よりお待ちしております。

 

2018 TERMIS World Congress – Kyoto, Japan 大会長
京都大学ウイルス・再生医科学研究所教授
TERMIS-AP理事長、JSRM理事 田畑泰彦
大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科教授
JSRM理事長、TERMIS-AP理事 澤 芳樹