日本再生医療学会

ニュース

2023.4.5

  • 学会からのお知らせ

第23回日本再生医療学会総会

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総会ウェブサイト:https://www.congre.co.jp/jsrm2024/

第23回日本再生医療学会総会の開催にあたり、ご挨拶申し上げます。

第23回総会のテーマは「心―Compassion」としました。難治の病の患者さんは「なおりたい」と願い、医療人、研究者、研究を支える多様な職種は、「治したい」という思いの中で研究開発に取り組んでいます。患者さんを見守る家族も含め、皆、様々な立場で「未来を変えたい」という希望を育んでいます。

再生医療分野の進歩は著しく、体性幹細胞、ヒトES細胞、ヒトiPS細胞の樹立と発展してきました。またその中で、細胞培養、素材工学との応用、遺伝治療(編集)の応用の中で発展しています。国内では体性幹細胞を用いたシート治療、さらに間葉系幹細胞を用いた様々な治験が推進される一方で、世界に先駆けたiPS細胞を用いた治験、臨床研究が推進されてきています。これからはさらに人工知能(AI)、データサイエンス、細胞外小胞(エクソソーム)、mRNA技術、3Dバイオプリンター、オルガノイドの利用等の応用および進歩の中でさらに発展することが期待されます。機器、ロボット技術を応用した各臓器リハビリテーションの応用も期待されます。新たに食品の分野において培養肉の開発にも、再生医療の技術が応用されています。

日本再生医療学会は2001年に“再生医療の社会実装”を行うことを使命に設立されました。その中で国内では、“ヒト幹細胞を用いた臨床研究の指針”が2006年9月1日に施行され、その後2014年よりは、再生医療関連法として、再生医療等安全性確保法および医薬品医療機器法が運用されてきました。現在、再生医療等製品が17品目、上市される中で、これからは、エビデンスを明確にし、真に役立つ再生医療を展開していくことが必要な時代になりました。学会では、再生医療認定医制度、細胞培養士認定制度、さらに再生医療の普及、啓発活動としてNational Consortium (NC) 事業の運用、NRMD(National Regenerative Medicine Database)も運用し、臨床研究のデータの活用、さらに市販後のリアルワールドデータの蓄積を行い、安全性が高く効率的な再生医療等製品の開発への取り組みを進めています。

本総会ではさらなる産官学の連携の推進の中で、多様なバックグランドを持つ様々な方の参加を通じ、ダイバーシティがありインクルーシブな未来の再生医療についての活発な議を行い、その中でさらに再生医療技術の国際標準、知財化も視野においていくことも重要と考えています。 

我々は“真心”がこもった再生医療を開発していきたいと願い、本会のプログラムの作成、準備を行ってきました。会の企画の中では、国内外のトップの先生方に特別講演をお願いするとともに、特別企画として再生医療について“若手の夢”vs“レジェンドからの提言”を開催します。さらに中高校生セッションや市民公開講座を通して、多くの世代が難病で苦しんでおられる患者さんの思いを受けとめ、再生医療について議論し、その未来を変えていきたいと考えています。

最後になりますが、本会は新潟ではじめて開催です。ぜひ、多くの方に新潟にお越しいただき、海も川も山も一望できる自然豊かな、古きよき港町―新潟の魅力も味わって頂きたいと考えております。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

第23回日本再生医療学会総会
会長 寺井崇二
新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野 教授